平屋は売却しにくい特殊物件って本当?

皆さんは「特殊物件」と聞くと、どのような物件をイメージされますか?特殊物件と聞いてイメージする代表格としては、事故物件や再建築不可物件などがありますよね。

特殊物件が売却しづらいのは言うまでもなく、事故物件は心理的に嫌ですし、せっかく買った戸建てが古くなっても建て直す事が出来ない再建築不可な立地はいかがなものでしょうか。

特殊物件は、購入者に不利な条件がついている物件というイメージがあるかと思いますが、購入者に不利な条件がついている物件の事を特殊物件という訳ではく、一般的に流通している物件と少し異なる物件の事を特殊物件と呼びます。

なので、お金持ちが建てた豪邸・極端な狭小住宅・二世帯住宅・平屋も一般的な2階建ての戸建より断然少数派の為、不動産業界では特殊物件と言われています。

中古市場において、二世帯住宅は売却しづらいと言う話は良く聞く事だと思います。二世帯住宅が売却しづらい理由はいくつかありますが、商圏が狭い・価格が高いというのが主な理由ですが、実は平屋も同じ理由で売却しづらい物件だと言われています。

平屋を購入したい人の商圏は本当に狭い?

バリアフリーの平屋は、シニア世帯に絶対的に人気のある間取りで、今住んでいる家を売却して平屋に引っ越したいと思っているシニア世帯は沢山います。

こう聞くと、高齢化が進む現代では平屋のニーズが沢山あると思うかもしれませんが、シニア世帯の引っ越しても良いエリアは限られていて、同じ町内程度しか検討に上がらない事がほとんどです。

若い世帯であれば、数駅離れた場所、違う市区町村、他県等、見知らぬ土地でも心機一転引っ越しを決意する人もいると思いますが、シニア世帯は住み慣れた地域を離れることに強い抵抗感を覚えます。

しげ雄
地方に住んでいる両親を、生活が不便だからと言って一緒に住もうと誘っても嫌がる親は多いよね。

しかし、今や平屋は高齢者だけでなく若い世代にも人気の物件で、平屋に住みたいと思っている子育て世代も沢山います。

平屋は広い土地が必要になるので、立地的には都市部から少し離れた所に建てることが多いです。若い世代は通勤・買い物など、利便性を重視する事が多いので、都市部から少し離れた平屋は駅近の物件に比べると見劣りしてしまいます。

 

オープンハウスのCMでも、

田中「そこの2人、時代が変わっても価値が変わらないものって、なーんだ?」

 

長瀬「そりゃ、愛だろ」

清野「愛だと思います」

 

田中「駅近の土地だから」

 

なんてやり取りあるくらい、都心・駅近の物件は人気ですよね。

いぬ君
家の近くで何でも揃うと便利だもんね。

でも東京都では、東京から出ていく転出者が、東京に来る転入者を超える転出超過に2020年5月におこっています。これは2013年以降初で、しかも6月はかろうじて転入超過になったものの、7月以降は5ヶ月連続で転出超過が続いています。

東京都から転出していく人の行先は、環境が良く、なおかつ通勤もそれほど苦にならない程度の神奈川、千葉、埼玉が多く、コロナ禍で都心・駅近神話が崩れてきていて、閑静な立地で密になりにくい郊外地は、ジワジワと人気が上がってきています。

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テレワーク

平屋は売却価格が高くて売れない?

新築物件ではなく中古物件を購入する理由は、新築物件に比べて中古物件は割安というのが大きな理由となっています。

私の住んでいる横浜市の外れでは、建売住宅の相場が3,800万円前後で、中古物件の相場は3,000万円以下になっています。

しげ雄
800万円も違うと、「中古の方が良いかな?」って思うよね。

なので、予算が3,000万円前後なら中古物件で、それ以上に予算があるなら新築物件の建売住宅を検討する人が多いと思います。

平屋の中古物件が売れない理由は、この相場との乖離にあります。

3,800万円の建売住宅の内訳は、建物代が1,500万円前後で、残り2,300万円前後が土地代になっており、土地は35~40坪で坪単価50~60万円になります。

中古物件が新築物件より安いのは、建物の残存価値が下がり、建物代が半額位になっているからで、土地代は新築だろうが中古だろうが値段はかわりません。

平屋が高くて売れない理由は土地代にあり、60坪の土地に建っている平屋は、土地代だけで3,500万円位して、建物代が減価償却で安くなり残存価値が半額以下になっても、売却価格は4,000万円を超えてきます。

住宅購入の予算が4,000万円以上もあるなら、中古物件という選択肢は消えて、新築購入を希望する人は多いのではないでしょうか。平屋は価格面で中古物件を探している人のニーズから離れた特殊物件と言われるのは仕方のない事です。

しかし、同じく価格面でニーズがあわなくて売りにくい二世帯住宅を比べてみると、平屋は大きなアピールポイントがあります。

いぬ君
二世帯住宅も一つの建物に設備が2つあり、建物代が割高で売りにくいよね。

それは、平屋を建てている広い土地は需要に対して供給があまりないことにあります。

家が思うように建てられない市街化調整区域では60坪を超える土地を良く見かけますが、市街化区域になると1筆が30~40坪に分筆されていることが多く、市街化区域で60坪以上の土地はかなり希少な土地となっています。

需要過多な希少な土地は高く売ることが出来るので、建物の残存価値がなくなる20年後30年後は同じ築年数の一般的な物件より需要が多く高く売ることが出来ます。

まとめ

特殊物件は売りにくいと言われていますが、平屋は他の特殊物件に比べてアピールポイントが沢山あります。売り方・時期を間違えなければ大幅な値引きをしなくても売却することが出来ます。

ただし、せっかく老後を見据えて建てた平屋なら、途中で売却するのではなく、終の棲家として暮らしてほしいです。