コロナ禍で住宅ローンの返済に困ったら

新型コロナの影響で収入が大きく減ってしまった人は少なくなく、住宅ローンの返済に頭を悩まされている方は多々いると思います。

固定給で給料をもらっていた方は、労働基準法の労働条件の不利益変更禁止で守られていますが、残業代やインセンティブで稼いでいる方は新型コロナの影響に直面したと思います。

いぬ君
ボーナスカットや失業もありえるよね。

給料減額、ボーナスカット、失業等の状況に陥り、住宅ローンを今後払い続けられるか不安になった時、建物を売却するという選択肢があります。

競売では建物は安く評価され、住宅ローン残高以下で取引されてしまいますので、競売にかけられる前に少しでも高く建物を売れる任意売却は有効な手段だと思いますが、任意売却前にまだやれることがあります。

任意売却の現実

自宅を売却しようとした時、「住宅ローン残高以上で売りたい」と誰もが思う事だと思います。住宅ローン残高以下で自宅を売却してしまうと、差額の残債を金融機関に支払わなければいけないので当然の事ですよね。

ですが、自宅の売却は住宅ローン残高以上で売れる事は稀な事です。なぜなら、住宅ローン残高が減る速さと資産価値が下がる速さでは、資産価値が下がる速さの方が圧倒的に早いからです。

頭金を多めに入れていれば住宅ローン残高が少ないので、住宅ローン残高以上で自宅を売ることが出来ますが、フルローンやオーバーローンなど最近は少ない頭金で家を買えるので、住宅ローン残高以上で自宅を売ることは中々出来ません。

しかも、コロナ禍という状況で早急に自宅を売却したいという思いとは裏腹に、自宅の売却には時間がかかり、すぐに買い取ってくれる不動産業者への販売は、大きく値下げを要求されます。

自宅を売却し、家賃の安い賃貸に引っ越し、固定費を軽減させる予定であっても、自宅売却後は、家賃の安い賃貸に引っ越しても残債の返済があるので、住宅ローンを支払っているのと何ら変わりのない状態になります。

新型コロナの影響で住宅ローンの支払に困ったらやること

住宅ローンの支払に困ってもやってはいけない事があります。それは、住宅ローンの支払滞納です。

住宅ローンの返済が滞った場合、その後すぐに返済をすれば大丈夫な場合もありますが、数回、数か月と返済を滞ってしまうと、金融機関は住宅ローンの一括返済を求めてきます。滞納者は当然一括返済など出来る筈もなく、債権を保証会社や債権回収会社に移行されます。

そして、債権が保証会社や債権回収会社に移ると、着々と競売の手続きが進められていきます。

しげ雄
この時点で家を手放すことがほぼ確定になります。

競売では、自宅は安く評価され、住宅ローン残高以下で取引されてしまいます。競売前に任意売却に切り替えることが出来る場合もありますが、任意売却の為に貰える時間は短く、任意売却では早急に買い手を見つけなければいけない為、相場を大幅に下回る値段で家を売却するしかありません。

競売でも任意売却でも、住宅ローン残高を上回る値段では家は売れず、結局は家を手放して尚ローンが残る状態になります。

そんな状況に陥ってしまう前に、まずは住宅ローンを借りている金融機関に相談にいくと良いです。金融機関は今回の新型コロナ感染拡大の影響に対して、金融庁から柔軟に対応するように要望されているので、相談に乗らざるを得ません。

金融機関が相談に乗ってくれること

金融機関は金融庁から柔軟な対応をしなさいと要望を受けているため、相談に来た人に対してはいくつか猶予を用意しています。お金が無いからといって、借金をなかったことにはしてくれませんが、返済計画を見直すことができます。

金融機関が相談に乗ってくれる返済計画の見直しは主に3つあり、①返済期間の延長、②一定期間返済額の減額、③ボーナス払いの見直しです。

住宅ローンは35年で組む方が多いですが、話し合いで最長15年間も返済期間を延ばすことが出来ます。15年も返済期間が延びれば、毎月10万円の元本を返済していた場合、毎月7万円位まで返済額を減らすことが出来ます。

但し、伸ばせる返済期間については完済時の年齢設定もあるので、40歳から75歳完済の35年ローンを組んでいる場合だとあまり返済期間を伸ばすことが出来ず、返済額も微減程度になってしまいます。

関連記事

結婚、出産、子どもの入園・入学、子どもの独立、定年退職などの節目で家を建てることを考える方も多いと思います。マイホームを持つことは夢でも、何かきっかけが無ければ実際に家を建てるという行動にはなかなか動きにくいものです。 また、きっかけ[…]

タイミング

将来給料が増える見込みがある場合は、一定期間返済額の減額でしのぐことが出来ます。減額された分は、借金が無くなる訳ではなく、期間が終了した後に返済額を増額して返済する事になります。

これから給料が増える見込みがない場合は、一定期間だけ減額されても、一定期間が終わってしまえば元の状況以上の返済額になるので、将来が不安な場合は一時しのぎにしかならず、後々苦しい状況になってしまいます。

何にしろ、返済計画の見直しはありがたいことなので、苦しい時は利用しない手はありません。

金融機関からは返済計画の見直しを提案してこない

住宅ローンを借りている人にとって返済計画の見直しはとてもありがたい話ですが、金融機関からは返済計画の見直しの提案は一切してきません。たとえ、住宅ローン返済で困っている人が沢山いても、競売に掛けられる人が沢山いても、金融機関にとってはどうでも良い話だからです。

なぜなら、金融機関にとって大事なことは、貸した金を回収する事です。

金融機関から住宅ローンを借りる時、多くの方は保証会社に保証をしてもらってお金をかります。金融機関は、もし住宅ローンを貸した人から回収が困難になっても、金融機関は保証会社から貸したお金を回収することができます。

つまり、滞納されようが、競売にかけられようが、金融機関は住宅ローンの貸付が回収不能になることはないからです。

しげ雄
お金を返してもらえなくて困るのは保証会社です。

金融機関にとって住宅ローンの貸し付けは回収が確実な案件で、返済に困っている人を相手にしても、全く利益を生みません。金融機関は現在業績悪化の最中にいます。そんな利益を生まない手助けを行うより、1件でも取引先獲得に力を入れたいのが現状です。

まとめ

持ち家は住宅ローン返済で苦労すると思われていますが、賃貸暮らしと違って事前相談によって猶予を受けることが出来ます。

住居費は賃貸、持ち家に限らず発生するものです。賃貸住まいで数か月家賃を滞納したら、部屋の明け渡しを要求されます。優しい大家さんなら、ある程度支払いを待ってくれますが、大家さんもビジネスで賃貸経営をしているのでいつまでも支払いを待ってはくれません。

コロナの影響で住居費が苦しくなった時、賃貸暮らしだと何も猶予を受けられず明け渡しとなってしまいますが、持ち家なら返済計画の見直しでなんとか凌ぐことができます。

コロナ禍のおいて、住宅ローンは大変さばかりクローズアップされていますが、何も保証のない賃貸暮らしよりは、実はありがたい措置があります。