平屋の間取りは横だけでなく、上にも広げる事が出来ます。特にリビングは屋根の形に合わせて勾配天井にすると、お部屋の雰囲気がガラッと変わります。
勾配天井にしたリビングは開放感がでて、魅力的な平屋にしてくれます。
屋根の形は大きく分けて2種類
戸建ての屋根は傾斜になっている勾配屋根と、傾斜のない陸屋根があります。
勾配屋根は傾斜をつけることによって雨水を自然と下に落としてくれます。雪国の場合は、雪が積もって家屋がつぶれないように傾斜を強くしていますが、雪があまり積もらない地域では傾斜の軽い片流れ屋根などの家も多いです。
陸屋根は傾斜がなく平らという訳ではなく、屋根に排水口をつくり、排水口に雨水が集まるようになっています。旭化成のへーベルハウスやセキスイハイムなど鉄骨系の戸建では陸屋根にしているところが多いです。
陸屋根なら屋上が出来るのでテラスとして使えるね。
部屋の天井を造る理由
勾配屋根の戸建で部屋の天井を設ける理由は暑さ対策です。
天井が無く屋根が部屋の天井の場合、屋根に降り注ぐ太陽の熱が部屋にまで届いてしまいます。
屋根と部屋との間に天井を設けることによって、熱が一旦屋根裏にたまり、熱が直接部屋に届くことを防いでくれます。
そして太陽の熱は屋根の断熱材と天井の断熱材で2重ブロックしてくるので屋根裏が有るのと無いのでは暑さが全然違ってきます。
家の断熱材はハウスメーカー次第
天井がないと部屋が暑くなると懸念するかもしれませんが、断熱材の施工次第では暑さを防ぐことが出来ます。
断熱材の性能を表す物で熱抵抗値というものがあります。熱抵抗値とは、熱の伝わりにくさを表す値のことで、 熱抵抗値の数値が大きいほど熱が伝わりにくいことを表します。
この熱抵抗値は、
「熱抵抗値 = 断熱材の厚さ ÷ 熱伝導率」で計算されます。
多くのハウスメーカーで採用されている断熱材はグラスウールという物ですが、このグラスウールは、10K、16K、24Kと種類があり、数字が高い物ほど熱伝導率が低くなっていきます。
グラスウールは断熱効果が薄いと言われていますが、それは10Kのグラスウールのことで、24Kのグラスウールならしっかり断熱効果があります。
安い断熱材を使用すれば当然断熱効果は悪くなるよね。
熱抵抗値を高めるもう一つの材料に断熱材の厚さがあります。どんなに良い断熱材を使っても、断熱材が薄ければ意味がありません。
天井を設けない場合は屋根に入れる断熱材をグレードアップさせ、入れる厚さも増やせば勾配天井でも暑さを感じさせない家は出来ます。
ハウスメーカーが出している熱抵抗値では分からない事
大手ハウスメーカーで、「うちの熱抵抗値は○○です」と自慢げに話してくる会社があります。
ただし、この熱抵抗値は計算上の数値であって実際の数値ではありません。
実は、断熱を高めるのに最も重要な要素に「職人の腕」があります。厚さや種類よりも職人の腕が断熱の良し悪しを決める比重が高くなっています。
断熱材は隙間なく壁の中に入れなければいけません。壁の中は柱や筋交い、配線などが入っています。
施工が悪いと壁の中に隙間が生じてしまい、せっかく高品質の断熱材を使っても効果が発揮されません。
壁の中に隙間なく入れることが一番重要だよ。
施工が心配なら、断熱材の施工に基準を設けて、基準をクリアした人にしか施工をさせないハウスメーカーで家を建てるのが良いです。
それだけ職人の腕によって左右されるってことだね。
勾配天井のメリット その1
勾配天井のメリットはなんといっても部屋の開放感が上がる事。
天井が近くにあると視線を遮るので部屋が狭く感じますが、勾配天井にすると視線が抜けて部屋が広く感じます。
開放感が上がる事が勾配天井の一番のメリットと言っても良いでしょう。
そして、天井が高くなるという事は、壁面も高くなります。高くなった壁の上部に窓を造れば太陽光が上から差し込み部屋全体が明るくなります。
天井のある部屋の窓では、部屋の奥まで日が差し込みません。高い位置に窓があると部屋の明るさはかなり変わります。
ただし、明るさを追求して天井に天窓を設置するのは辞めた方が良いです。
何年か前に天窓が流行った時期がありましたが、そのころに天窓を付けた家で雨漏りが頻発しています。
天窓を固定するパッキンは紫外線に当たると劣化し、劣化したところから雨水が部屋に入ってきます。
屋根は傾斜になっている為、雨漏りは窓の所だけでなく、屋根を伝って壁の方まで雨水が侵食してきます。
採光は天窓でなくても、高い位置に付けるだけで十分だよ。
勾配天井のメリット その2
勾配天井の2つ目のメリットは見た目がお洒落になる事です。
通常の天井はクロス仕上げの味気ない見た目になりますが、勾配天井にすると普段は天井の裏に隠れている柱や梁をあえて見せることが出来ます。
柱や梁を見せることによって味気のない天井にアクセントが加わりお洒落さがupします。
天井に柱や梁が出ていると、木の質感で室内にいながら自然を感じることができます。
木の温もりって優しさを感じますよね。
また、高い位置から吊り下げ照明を落とせば、お部屋全体が高級感に包まれます。
天井が高いからシーリングファンも似合いそうだね。
まとめ
一昔の勾配天井は断熱が弱く暑いイメージでしたが、最近の断熱は断熱材の性能も上がり、屋根の屋根断熱も加えれば勾配天井でも暑さを感じません。
平屋なら上階が無いので勾配天井はかなりオススメです。
ただし、勾配天井は通常の天井仕上げと比べてコストがかかります。クロスの貼り替えは足場を組まなければいけませんし、照明の交換も一苦労です。
その分、天井を造らないので建築費が若干抑えられるので±0ってことですかね。
平屋を建てるならリビングに勾配天井はいかがでしょうか?