平屋の色々なサイトを見てみると、平屋は2階建てよりも建築費が高くなると言う人がいます。
建築費が高いという人の意見は、基礎工事と屋根が2倍になるからとの事です。
確かに、平屋は縦ではなく横に家を伸ばすので基礎工事と屋根は大きくなります。ですが、実際に平屋を建てた私の答えは、平屋は2階建てより建築費が若干安い。
本当に基礎工事と屋根は2倍になるのか
よくある住宅の広さは35坪前後ですが、計算を楽にするために少し小さめの32坪(105.99㎡)で試算してみました。
32坪と言うとよく売られている建売住宅の広さだね。
試算するのはW7,280mm×D7,280mmの2階建てとW14,560mm×D7,280mmの平屋です。単純に2階建ての2階部分を1階の横に繋げてみました。
こんな感じ。
まずは、値段が高くなると言われている基礎工事は、2階建てが7,280mm×7,280mmで約52.99㎡、平屋は14,560mm×7,280mmで約105.99㎡になります。
52.99㎡:105.99㎡で確かに基礎部分は2倍になっています。
次に屋根ですが、屋根は軒が出ているので建物の広さより一回り大きくなっています。一般的な軒の長さ250mmを建物面積に足して計算すると、2階建ては(7,280mm+500mm)×(7,280mm+500mm)で約60.52㎡、平屋は(14,560mm+500mm)×(7,280mm+500mm)で約117.16㎡になります。
さらに屋根には勾配が付いているので、勾配角度を4尺勾配として計算すると、2階建ては60.52㎡×1.097=約66.39㎡、平屋は117.16㎡×1.097=約128.52㎡になります。
66.36㎡:128.52㎡で約1.93倍が2階建てより平屋の屋根が大きくなっています。
平屋より2階建ての方が高くなるもの
基礎と屋根はやっぱり約2倍になりましたが、反対に2階建ての方が多く使う材料もあります。
それは外壁です。
外壁の面積は建物の高さを2,500mmとした場合、2階建てはW7,280mm×H2,500mmの面が8枚で145.60㎡、平屋はW7,280mm×H2,500mmが2枚とW14,560×H2,500mmが2枚で109.20㎡になります。
145.60㎡:109.20㎡で2階建ての約0.75倍になります。
ここまでのまとめ
平屋の基礎工事は2階建ての2倍
平屋の屋根は2階建ての1.93倍
平屋の外壁は2階建ての0.75倍
基礎工事と屋根は平屋の方が大きいけど、外壁は2階建ての方が大きい。
平屋の設備工事は2階建てより安い
外回りに係る費用は2階建ての方が安いです。ですが、建物の建築費は設備工事によっても変わってきます。
2階建てには平屋にない階段とバルコニーがあります。そして、トイレを1つにするという選択もあります。
階段とバルコニーを造るのはお金がかかります。
トイレは、戸建てでトイレ1つだけ?と思うかもしれませんが、夫婦2人子供2人の生活でトイレは1つでも事足ります。
戸建てを建てる前に住んでいたであろう賃貸マンションもトイレは1つ。家族4人で住む分譲マンションもトイレは1つです。
そして、水回りを2回に設置する場合もコストがかかります。
キッチン、洗面台、トイレ、浴槽は給排水の為に配管を延期しなければなりません。特に浴槽を2階に設置する場合は落下防止の為に下地を強度のある金属の棒で補強します。
さらに、エアコンも2階の設置にはお金がかかります。エアコンの設置自体の値段は変わりませんが、室外機を1階に降ろす場合は延長配管、配管カバー、高所取付費が発生します。
結局平屋と2階建てはどっちが安い?
外回りは2階建てが安く、設備は平屋が安い。トータルで考えると、若干平屋の方が安く建てられます。
ただし、条件やハウスメーカー次第によっては平屋の方が高くなる場合もあります。
条件とは、家を建てる土地の地盤が弱く、地盤改良が必要な場合、平屋は多くの杭を深く打たなければならないので値段は高くなります。
ハウスメーカー次第とは、正確な原価積立方式で金額を出さず、1階でも2階でも売値を一緒にしている場合があります。
ハウスメーカーによっては、例えば「トイレ1ヶ所いくら」みたいに、1階にトイレをつけても2階にトイレをつけても値段は一緒、という事があります。
引越し屋さんも正確な移動距離に応じて見積もりを出さないのと一緒です。高速代やガソリン代が違うのに「同エリアいくら」みたいに。
忘れちゃいけない土地代
建物の建築費は平屋の方が若干安くても、忘れちゃいけないのが土地代。
今まで話した事は、建物の話で土地の事を忘れちゃダメです。
32坪の戸建てを建てるには、建蔽率60%の場合、2階建ては26.66坪必要で、平屋は53.33坪必要になります。
土地の値段が1坪30万円なら、7,998,000円の差、1坪50万円なら13,330,000円の差、1坪80万延期なら21,328,000円の差になります。
実際は32坪の戸建てだと土地は30坪くらいになるので、1坪30万円で6,999,000円の差、1坪50万で11,665,000円の差、1坪80万円で18,664,000円の差になります。
さすがにこの差は埋める事はできません。平屋と2階建てを建てる費用の差は土地代の差という事になります。
土地は減価償却のない固定資産
土地代が高いからと言って平屋を諦めるのはちょっと待ってください。
土地は減価償却のない固定資産です。
建てた戸建てに40年住めば、建物も老朽化して、売却するとなっても価値はほぼ0円になっています。
価値があっても値が付かないと言った方が正しいかもしれません。
でも土地はどんなに年数が経って減価償却で価値は下がりません。
しかも、少子高齢化が進み土地が溢れている中で、40年後に30坪の土地を買いたいと思う人はいるでしょうか?
買いたいと思っている人がいたとしても、30坪の売りたい土地を持っている人は溢れています。
30坪前後の土地が多い中、50坪以上の土地は他の土地と比べて希少価値の高い土地になっていることでしょう。
40年後、平屋を建てる為に払った土地代は返ってきます。
つまり生涯で払う金額は建物代だけです。
そして建物代は2階建てよりも平屋は安い。
まとめ
平屋と2階建ては同じ坪数なら平屋の方が建築費は若干安なりますが、さらに平屋は2階建てより一回り小さくても同じ間取りが作れます。
2階建てだと階段や廊下を作るスペースが必要になりますが、平屋は廊下の少ない家も作る事ができます。
2階建ての階段と廊下の面積は合わせて3坪くらいあるので、廊下のない平屋を建てれば一回り大きい居住スペースを造れるか、29坪で同じ間取りを造る事ができます。