屋根裏部屋付き平屋は本当に平屋?

平成12年に建築基準法改正で小屋裏物置等の規制が緩和されました。

平成12年より前の小屋裏物置等はその階の1/8までの広さとなっていましたが、平成12年以降はその階の1/2まで小屋裏物置等を作っても良くなりました。

さらに、小屋裏物置等に行く階段が固定階段でも良くなったことにより、小屋裏物置等を屋根裏収納から屋根裏部屋として活用できるようになりました。

屋根裏部屋とは?

屋根裏部屋を簡単に説明すると、高さ1.4m以下のスペースは建築基準法で階とみなさないで良い部屋になります。

細かい規制は市区町村によって異なるので家を建てる予定の役所に確認して下さい。

平成12年までは面積も狭く、ハシゴしか認められていませんでしたが、平成12年以降は固定階段がOKとなったことにより、収納から部屋へと用途を変えることが出来るようになりました。

いぬ君
ハシゴは上り下りが危ないよね。

部屋として使っているのに建築基準法では部屋として扱われないので、建蔽率と容積率の低い地域でも部屋数を増やすことが出来ます。

さらに、屋根裏部屋は部屋ではないので、延べ床面積に含まれず固定資産税にもメリットがあります。

固定資産税は延べ床面積に単価を掛けて計算されますので、普通に階を増やすより、屋根裏部屋にした方が、使える面積が同じでも固定資産税が安くなります。

昔は固定資産税を安くするために、建物の完成時に屋根裏を塞いでおいて、固定資産税を決める税務課家屋担当職員が来た後に階段を付ける違法建築を手掛ける工務店もありました。

都心の土地が高いエリアでも平屋に住める

平屋といえば、広い土地が必要になり、土地が高いエリアでは予算的に平屋を建てるハードルが高いです。そんな高いハードルを解消してくれるのが、屋根裏部屋付き平屋になります。

平屋に住みたいけど広い土地が見つからなくても、屋根裏の普通使わないスペースを有効的に活用し、狭い土地でも平屋を建てることができます。

ハウスメーカーも平屋人気に乗じて屋根裏部屋付き平屋の建築プランを各社出しています。

しげ雄
プランがあるとイメージが湧くよね。

セキスイハイム
・たのしみの家
・楽の家

桧屋住宅
・スマート・ワン平屋

三井ホーム
・ウエストウッド

ミサワホーム
・ENTURY Stylepro HIRAYA

トヨタホーム
・理想の平屋

クレバリーホーム
・グランシェア

しげ雄
固定階段がOKになったことによって設計の幅が広がったよ。

ただし、建築基準法では小屋裏物置等は物入れとしてしか用途が認められておらず、寝室にすることはNGとなっています。そのため、TVやインターネットのジャックを設置するのはダメで、設置できるコンセントの数も決まっています。

他にも窓の大きさやバルコニーを造ってはいけない等の規制があります。

これって本当に憧れの平屋?

(株)住環境研究所『平屋住宅に関する調査』における平屋選択の理由1位は、「階段の上下移動がない」となっています。

そして、平屋選択の理由2位は「同一階(ワンフロアー)で生活できる」、平屋選択の理由3位は「コンパクトだが効率のよい間取りが作れる」になっています。

参照: (株)住環境研究所

いぬ君
屋根裏部屋は平屋に住みたい理由と一致してないね。

屋根裏部屋付き平屋は、階段があるし、ワンフロアーではないし、そしてコンパクトで効率的でもありません。

広い家に住みたいけど広い土地がない人には屋根裏部屋付き平屋はよいかもしれませんが、平屋に住みたい人には屋根裏部屋付き平屋ってどうなのでしょうか?

固定資産税が安くなるというメリットがありますが、平屋を建てたい人で、固定資産税が気になるから税金の安い平屋に住みたいと思っている人はあまりいないのではないでしょうか。

平屋と1階建ては違う

平屋とは、1層の床、天井、屋根と壁で構成された建築物のことを言います。

建築基準法で屋根裏部屋は階とみなさないので良いので、屋根裏部屋付きの建物は2階建てではなく1階建てになりますが、2層になっています。

1階建てであっても、2層で構成された建築物は平屋の定義に当てはまりません。階段などの垂直方向の移動がなく、動線が水平方向のみで構成されるのが平屋です。

屋根裏部屋付き平屋は、平屋ではなく1階建てです。つまり、屋根裏部屋付き平屋は、屋根裏部屋付き1階建てといった方が正しくなります。

いぬ君
言葉の響きが良くないね。

それでも各ハウスメーカーが1階建てを平屋として売り出しているのは、それだけ平屋の人気が高まっているからでしょうか。

まとめ

平屋の良い所は、老後が暮らしやすい、家事が楽になる、ペットが暮らしやすい、育児がしやすい、家族のコミュニケーションがとれる等があります。

これらの良い所は全て階段がないことが前提となっています。屋根裏部屋を造ると、当然そこに上がる階段や梯子が必要になります。

あまり使わない物を置く収納の用途であれば平屋の良さを残せますが、部屋として使う予定の屋根裏部屋を造るなら制約のかからない2階を造った方が暮らしは快適になります。

高さ1.4mの屋根裏部屋がある建物は、かえって暮らしにくい1階建てのような気がします。